『人間道楽』 1-1. 920

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分かりやすく説明すると、

人の脳は爬虫類の脳(反射)と、

哺乳類の脳(感情)と、

人の脳(理性)

の三層から出来ています。

 

思考回路も進化してきた

過程に沿って、

発動します。

 

生命維持のために、

より重要度の高い順番で。

 

話を元に戻します。

近づいて倒れた人から返事が返ってきた時に、

倒れているのが女性であること。

 

身体は概ね大丈夫そうだが、

手を怪我していること。

 

いろんな事柄が一瞬にして視覚情報として

入ってくる為に、一気に臨場感が増してきます。

 

弱々しい声のトーンが、助けが必要な一人の

人間である事を鮮明に伝えてきます。

 

僕と同じ様に、家族や友達を持ち 

泣いたり、笑ったりして生活している人として、

親近感まで湧いてきます。

 

そうすると人の脳は、

過去の経験を基に必要な

情報を引っ張り出し初めました。

 

頭を打っているのなら、

無闇に動かさない方が良い。

 

視覚情報で、頭を動かせないほどの

状態では無いと判断します。

 

次に、頭が大丈夫なら、もっと安全な場所に

移動させる事が優先だ。

 

急ぎ歩道まで移動してもらうと、

緊急状態は取り敢えず解除。

僕の頭の中でけたたましく鳴っていた

アラームがレベルを下げた。

 

バイタルサイン(身体の状態と、意識レベル)

の確認をして、一刻を争う状況でないことを

認識します。

 

ただ、見た目が、大丈夫そうでも

自分で立てないほどのダメージを受けているのも

事実です。

 

安心して意識が遠のく事も、

考慮する必要がある。

 

もうこの時には、

自分の用事は頭から吹っ飛んでいました。

 

雨も降っているし、傘も持っていない女性を

このまま置いてその場を立ち去るなんて

出来るわけがない。

 

この時点では、せめて救急車が到着し、

救急隊員へ彼女の状態や事故後の状況を

説明するまで、傍に居ることを

心に決めていました。

 

警察の手配も終わり、

状況が一段落すると女性の意識だけに

注意を払えばよい状態になっていた。

 

意識の確認は目を見ていれば分かるけど、

会話するのが手っ取り早い。

 

声のトーン、音調などで意識が急変すれば

察知できる。

 

「会社の帰りですか?」

「はい」

 

そこに、好奇心がムクムクと湧いてきたから

転倒した状況を会話しながら、ストーリーに

したててみる。

 

「行き場の無くなったバイクに急ブレーキ。

白線が濡れて滑りやすくなっているから、

ブレーキ掛けた時に、

スリップしたのかもしれないですね。」

 

「すみません」と何度も、謝る女性の言葉を

遮りながら、

恥ずかしさや、迷惑をかけたなんて

余計な思いを抱かないように、

全然関係ない話もしたりして。。